事象発生に至る見解

 1-1. 期待寿命 定電圧電源には電解コンデンサが多数搭載されており、定電圧電源の寿命はこの電解コンデンサの寿命、及び 絶縁低下によるレジストの腐食等に依存されると考えられます。
まず電解コンデンサは電気化学作用を基に構成した電子部品であり、内部に電解液を封入しゴムパッキン等で 封密しています。それら電解液の特性上、内部消費や外部拡散が発生しやすい性質があります。 続いて他の寿命を左右するものとして、環境温度や湿度、塵埃等によるレジスト腐食が要因にあげられます。

電解コンデンサ寿命の目安はアレニウスの法則(熱エネルギーによる誘電体分子の活性化に因した 化学反応式)を用いて算出することが可能です。
以下条件化で算出結果の一例を記載いたしますが、環境条件/物理的条件(塵埃/振動/湿度条件)等が 考慮されていないため、目安値扱いといたします。
条件1;電解コンデンサ温度 雰囲気温度+α32℃(過去の実験結果一例より)
条件2;気象庁データ 2011年~2012年の東京都平均気温 17.2℃
検査成績書 温度測定結果 Deg.16℃(飽和温度-外気温度)  合計32.2℃

【算出例】
                 
No. 項     目 数 値 単位
1 電解コンデンサの保証寿命 2000
2 電解コンデンサの保証温度 105
3 電解コンデンサ温度 65.2
4 雰囲気温度 33.2
5 1日の稼働時間 18
6 年間稼働時間 6570
7 電解コンデンサの期待寿命 31559.4

電源内部 電解コンデンサ 状況

環境要因に対する対策

まず塵埃・湿度対策として、20〇〇年〇月のご案内以降、捕集率を向上したフィルターを使用し筐体内に流入する
塵埃に対する強化を実施することにより、相応の効果を得ております。
しかしながら、筐体のフィルターをすり抜けて内部に入り込んだ細かな塵埃は、定電圧電源内の排熱用FANにより
定電圧電源内にも少なからず入り込んでおります。
尚、設置から約〇年半が経過し、周囲の塵埃の量により程度の違いはあるものの定電圧電源内にも堆積していることが想定されます。
上記因子に湿気が加わることにより、徐々に基板パターンの腐食等が進行し、不具合に至ることが想定されます。
特に雨天が続き湿度の高い時期等は、風の向きや淀みにより上記の事象が複数個所で同時に発生する可能性がございます。